NVIDIAがUDRシステムを発表:自然言語プログラミングをサポートする初の汎用AI研究エージェントプラットフォームが正式にオープンソース化

September 09, 2025
NVIDIA Research
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ニュース概要

NVIDIAリサーチは、画期的なAI研究エージェントシステムであるユニバーサル深層研究システム(Universal Deep Research, UDR)を発表しました。これにより、ユーザーは追加のトレーニングやファインチューニングなしに、あらゆる大規模言語モデル(LLM)を完全に機能する深層研究ツールとして利用できるようになります。

システムの主要な特徴

モデル非依存アーキテクチャ設計 UDRは研究ロジックと言語モデルを分離することで、開発者がベンダーやアーキテクチャに関わらず、あらゆるLLMを機能的な深層研究ツールとして活用できるようにします。この設計は、従来の深層研究ツールにおけるベンダーロックインの制約を打ち破り、製品開発に大きな柔軟性をもたらします。

自然言語による戦略プログラミング UDRの最も顕著な革新的な特徴は、ユーザーが自然言語で独自の研究ワークフローを定義・プログラミングできる点です。システムはそれを実行可能で監査可能なコードに変換します。これにより、ユーザーは複雑なプログラミング言語を学ぶ必要がなくなり、利用の敷居が大幅に下がります。

透明性の高い研究プロセス UDRは深層研究をブラックボックスから透明でプログラマブルなプロセスへと変革します。ユーザーは「研究課題」と「自然言語で記述された研究戦略」の2つの入力を提供します。システムは戦略を単一のジェネレーター関数にコンパイルし、構造化された通知を生成します。

技術アーキテクチャの利点

CPU-GPUハイブリッド実行モード システムは革新的な二重効率設計を採用しており、プロセススケジューリングをCPUの実行ロジックに委ねつつ、LLMの使用を正確かつ効率的な呼び出しに厳しく制限します。この設計は、GPUリソースの消費を削減するだけでなく、深層研究タスク全体の実行遅延とコストを大幅に低減します。

多様な戦略のサポート システムの汎用性を示すため、NVIDIAはUDRに最小限、拡張性、集約型の研究戦略の例を搭載しています。ユーザーは具体的なニーズに応じて研究方法を選択またはカスタマイズできます。

リアルタイム進捗追跡 システムは実験を促進するためのユーザーインターフェースを提供し、リアルタイムの戦略編集、オプションの戦略ライブラリ、進捗通知、レポート表示をサポートします。これはエンドユーザー製品を構築するための実用的な青写真となります。

応用可能性の分析

エンタープライズレベルでの応用可能性 UDRはエージェントの自律性においてブレークスルーを達成し、企業での利用に非常に適していると評価されています。既存の固定戦略型深層研究ツールと比較して、UDRのカスタマイズ性は企業により柔軟なソリューションを提供します。

オープンソースコミュニティのサポート NVIDIAは関連コードと研究デモプロトタイプをGitHubで公開しており、学術界と産業界におけるさらなる研究と応用を促進しています。

現在の限界

システムが研究戦略を実行する精度は、基盤となるAIモデルが生成するコードの品質に完全に依存します。戦略の記述が曖昧または不十分な場合、システムが誤解したり、論理的なエラーを時折発生させたりする可能性があります。また、現在のバージョンでは、ユーザーが実行中に介入すること(タスクのキャンセルのみ許可)はサポートされておらず、リアルタイムのフィードバックに基づいて研究の方向性を調整することはできません。

発表情報

このシステムに関する論文は、2024年8月29日にarXivプラットフォームで公開されました。論文タイトルは「Universal Deep Research: Bring Your Own Model and Strategy」で、NVIDIAリサーチのPeter BelcakとPavlo Molchanovによって執筆されました。システムコードはNVlabsのGitHubリポジトリでオープンソースとして公開されています。

業界への影響展望

UDRの発表は、AI研究ツールがモジュール化、透明化の方向へ進む重要な一歩を示しています。研究戦略の策定権をユーザーに委ねることで、このシステムは各業界におけるカスタマイズされたAI研究ソリューションの発展を推進し、研究開発、ビジネス分析、情報調査などの分野に新たな可能性をもたらすことが期待されます。