ONNX (Open Neural Network Exchange) は、AIモデルが様々なフレームワーク、ツール、ランタイム、ハードウェア間で相互運用できるようにするオープンなエコシステムです。
Apache-2.0Pythononnxonnx 19.6k Last Updated: September 08, 2025
ONNX (Open Neural Network Exchange) プロジェクト概要
プロジェクトの背景
ONNX (Open Neural Network Exchange) は、人工知能モデルの相互運用性を促進することを目的としたオープンなエコシステムです。 深層学習の分野では、PyTorch、TensorFlow、MXNetなど、さまざまなフレームワークが存在します。 これらのフレームワークにはそれぞれ利点がありますが、モデルを異なるフレームワーク間で移行およびデプロイする際には、課題に直面することがよくあります。 ONNXの目標は、共通のモデル表現を定義し、モデルを異なるフレームワーク間で簡単に変換および実行できるようにすることで、AIモデルの開発およびデプロイプロセスを簡素化することです。
主要な特徴
- オープンスタンダード: ONNXはオープンな標準であり、誰でもその開発と改善に参加できます。
- フレームワーク間の互換性: ONNXを使用すると、モデルをあるフレームワークからエクスポートし、別のフレームワークにインポートして実行できます。 これにより、モデルの移植性が大幅に向上します。
- 幅広いフレームワークのサポート: 多くの主要な深層学習フレームワークがONNXをサポートしています。これには、PyTorch、TensorFlow、MXNet、CNTK、PaddlePaddleなどが含まれます。
- ハードウェアアクセラレーション: ONNX Runtimeは、高性能な推論エンジンを提供し、さまざまなハードウェアプラットフォームでONNXモデルを実行し、ハードウェアアクセラレーション機能を利用してパフォーマンスを向上させることができます。
- モデルの最適化: ONNX Runtimeには、ONNXモデルを量子化、プルーニングなどの最適化を行うためのモデル最適化ツールが含まれており、モデルサイズを縮小し、推論速度を向上させることができます。
- バージョン管理: ONNXにはバージョン管理メカニズムがあり、モデルの互換性とトレーサビリティを確保できます。
応用シーン
- モデルのデプロイ: ONNXは、さまざまなプラットフォームおよびデバイスへのモデルのデプロイを簡素化します。 たとえば、PyTorchでトレーニングされたモデルをONNX形式でエクスポートし、モバイルデバイスまたは組み込みデバイスでONNX Runtimeを使用して実行できます。
- モデルの共有: ONNXは、研究者と開発者間のモデルの共有を促進します。 モデルをONNX形式で公開して、他の人が使用できるようにすることができます。その際、使用するフレームワークを考慮する必要はありません。
- 異種計算: ONNXを使用すると、モデルの異なる部分を異なるハードウェアプラットフォームで実行できます。 たとえば、計算負荷の高いレイヤーをGPUで実行し、他のレイヤーをCPUで実行できます。
- モデル最適化の研究: ONNXは、モデル最適化技術の研究および開発のための標準化されたプラットフォームを提供します。 ONNXモデルをベンチマークとして使用して、さまざまな最適化アルゴリズムのパフォーマンスを評価できます。
- クラウド推論サービス: 多くのクラウドサービスプロバイダーがONNXモデルをサポートしており、ONNXを使用してモデルをクラウドにデプロイし、オンライン推論サービスを提供できます。
プロジェクト構造 (GitHubリポジトリに基づく)
ONNXプロジェクトのGitHubリポジトリには、次の主要な構成要素が含まれています。
- onnx: ONNXモデルのプロトコルバッファ定義 (Protocol Buffers) を定義します。
- onnx/checker: ONNXモデルが仕様に準拠しているかどうかを検証するためのツール。
- onnx/helper: ONNXモデルを作成および操作するためのPython API。
- onnx/reference: ONNX演算子の参照実装を提供します。
- docs: 仕様、チュートリアル、サンプルなど、ONNXのドキュメントが含まれています。
- operators.md: ONNXがサポートする演算子 (operators) を記述します。
まとめ
ONNXは、共通のモデル表現を提供することにより、人工知能モデルの相互運用性と移植性を促進する重要なプロジェクトです。 その幅広い応用と継続的な発展は、AI技術の普及とイノベーションを推進しています。