Perplexityが月額200ドルの料金を廃止、AIブラウザCometをグローバルユーザーに無料公開
概要
AI検索スタートアップのPerplexityは10月3日、AIブラウザ「Comet」を世界中のユーザーに無料で一般公開すると発表しました。このブラウザはこれまで、月額200ドルのPerplexity Maxサブスクリプションユーザーのみが利用可能で、今年7月のリリース以来、数百万人ものユーザーがウェイティングリストに登録していました。今回、Perplexityは有料の壁を取り払い、すべてのユーザーが無料でダウンロードして利用できるようにしましたが、無料版には利用頻度制限が設けられます。
Cometブラウザの核となる機能は、ユーザーがウェブを閲覧する際にリアルタイムでサポートを提供するサイドバーAIアシスタントです。これには、質問への回答、ウェブページの内容の要約、ウェブコンテンツの管理、さらにはユーザーに代わってウェブを閲覧する機能も含まれます。この動きは、AIブラウザの競争が激化する中で行われました。Googleは9月にGeminiをChromeブラウザに統合し、Anthropicは8月にブラウザベースのAIエージェントをリリース、OpenAIは今年1月にタスクを完了できるエージェントツール「Operator」を発表しています。
製品機能と位置付け
Cometは、パーソナライズされたニュース推薦機能「Discover」、プロジェクト管理ツール「Spaces」、ショッピングアシスタント、旅行情報アグリゲーター、財務管理ツール、スポーツイベントの最新情報など、複数の実用的なツールを提供しています。これらの基本機能はすべてのユーザーが利用できます。
Perplexityは、Cometがユーザーを質の低いコンテンツから遠ざけ、有意義で質の高い研究リソースに集中させることを目指していると強調しています。このブラウザはPerplexity AIをデフォルトの検索エンジンとして使用し、ウェブから情報を抽出し、AIが生成した応答にデータを関連付けることができます。
サブスクリプションプランの違い
Cometは現在無料で利用可能ですが、Perplexityは引き続き異なるサブスクリプションプランを提供しています。
- 無料ユーザー: サイドバーアシスタントと基本ツールを利用できますが、利用頻度制限があります。
- Proユーザー(月額20ドル): 高度なAIモデル、画像・動画生成、ファイルのアップロードと分析などの機能にアクセスできます。
- Maxユーザー(月額200ドル): メールアシスタント機能を利用できます。この機能は、返信の草稿作成、受信トレイの整理と優先順位付け、会議のスケジュール設定、メールに関する質問への回答が可能です。Maxユーザーは、CEOのアラヴィンド・スリニヴァスが10月2日のイベントで発表した「バックグラウンドアシスタント」機能を含む、新製品や新機能への早期アクセスも得られます。
「バックグラウンドアシスタント」は「あなたのために働くアシスタントチーム」と表現されており、ユーザーは「タスクコントロールセンター」のような中央ダッシュボードからこれらのアシスタントを管理・追跡できます。このアシスタントは、メールの送信、最も安いコンサートチケットのカートへの追加、特定の日時における最適な直行便の検索など、複数のタスクをバックグラウンドで同時に実行できます。
コンテンツ提携とビジネスモデル
Perplexityは、ユーザーにシンプルな回答を提供し、ウェブ上のオリジナルソースにリンクするAI検索エンジンで広く知られています。メディアコンテンツの盗用を非難された後、同社は昨年、出版社との収益分配モデルを導入しました。
無料のCometユーザーは、月額5ドルのComet Plusを別途サブスクライブすることもできます。これは、Apple NewsのAI強化版の代替品として近日公開予定の製品です。ProおよびMaxユーザーには、Comet Plusへのアクセス権が自動的に付与されます。CNN、コンデナスト、ワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズ、フォーチュン、ル・モンド、ル・フィガロが最初の出版パートナーです。
将来の計画
Perplexityは、今後さらに多くの機能が追加される予定であると述べています。同社はCometのモバイル版と、複数のタスクを非同期で同時に処理できる「バックグラウンドアシスタント」という機能を予告しました。
市場競争
StatCounterのデータによると、Google Chromeの9月のデスクトップブラウザ市場シェアは過去最高の73.7%に達しました。Chromeの30億人というユーザーベースに対し、Cometのウェイティングリストは数百万人にとどまります。しかし、真の競争は周辺で起こっています。ブラウザに組み込まれたAIアシスタント、ブラウザのように機能するアプリケーション、そして検索機能自体を吸収するチャットインターフェースは、ユーザーの行動を従来のブラウジングモードから遠ざける可能性があります。
注目すべきは、Perplexityが8月にGoogleに対し、Chromeブラウザの340億5000万ドルでの非公式買収提案を行っていたことです。今回、Cometを無料で一般公開することで、Perplexityは自社のブラウザ戦略に賭け金を倍増させています。
CEOの視点
Perplexity AIのCEO兼創設者であるアラヴィンド・スリニヴァスは金曜日、Cometブラウザが生産性を向上させ、企業が追加の従業員を雇用する必要がなくなると述べました。この見解は、AIツールが業務効率向上にもたらす可能性を浮き彫りにすると同時に、AIが雇用市場に与える影響についての議論を巻き起こしています。
ダウンロード方法: ユーザーはperplexity.ai/cometにアクセスして、Cometブラウザを無料でダウンロードできます。